おれはなにわのライオンや

  

 



檻舎を揺るがす叫び


一九四三年(昭和一八年)八月、東京上野動物園で決行された猛獣大虐殺は、『戦意高揚』のためのパフォーマンスであったという。

意に反した犠牲を強いられたという点で、後のサイパン島や沖縄戦での集団自決に通ずるものがあるが、単に『かわいそう』と同情すれば済む話ではあるまい。

抗いがたい死に直面した猛獣たちの咆哮は、まさに檻舎を揺るがす『人間告発』『戦争告発』の叫びだった。

われわれは『人間』として、耳を傾けねばならないだろう。

 

さねとうあきら